スイス・ウオッチの2020年問題 其の三
セイコーやシチズンは、自社グループ会社などでムーブを生産し、自社のウオッチにムーブを組み込んでいますが、スイスでは、ムーブを購入して自社のウオッチに組み込み、ブランド化して販売をしております。分かりやすく自動車に例えると、自動車A社グループに、エンジンを製造している会社があり、そのエンジンを他のB社、C社などが購入し、自社の高級車として販売をしているということです。
そういうことから、2002年スウォッチ・グループが他のグループへの販売を2005年以降停止すると表明をしました。
主な理由は、
1. 安く調達をしたムーブを使って高価な時計を製造販売していること
2. メンテナンス用のムーブメントを17,000個しか輸出をしていないのに、他のスイスメーカは、中国などスイス時計の競争相手に100万個も輸出をしていること。
3. ムーブメントの技術開発や製造に投資をせずに、ムーブメントの値上げになかなか応じてくれない などです。
この発表により、スイス競争委員会(Comco)がこの問題に介入をし、2011年は前年と同じ量を販売をしなければならない。2012年は、2011年の85%に減らすことを認めました。その結果、9社の時計メーカーが不服を申し立て、裁判になりました。
2011年12月、スイス連邦行政裁判所はComcoが決めたことを追認、スウォッチグループの主張が認められたことになり、他グループ、他社への供給義務は2014~2019年にかけて段階的に減らすことになり、2020年には、供給義務が完全に消滅をすることになります。つまり、2020年以降は、スウォッチ・グループ以外のグループは、エタ社からムーブメントを購入を出来なくなるということです。
これらの動きにより、ブライトリングがムーブメントの自社生産に踏み切ったりしました。
(つづく)
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