スイス・ウオッチの2020年問題 其の四

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スイス・ネス法とエタのムーブがスウォッチ・グループが他のグループへの販売停止の2020年がやってきます。

ロレックスのように自社ムーブを生産しているメーカーは関係がありませんが・・・

  1.   一部のメーカーがスイス以外のムーブを搭載することになり、スイス・メード と表示が出来ない腕時計の販売が始まる可能性。
  2.   自社生産を始めるメーカーはコストがかかるため、ムーブの値段が上がる。        =腕時計の値段が上がる可能性
  3.   スウォッチ・グループが他グループへのムーブの販売の停止をするのだから、メンテ用のムーブは勿論、パーツの販売を停止する可能性。
  4.   ③の事情により、他グループは以前、生産をしていたエタのムーブを搭載した腕時計の修理・メンテナンスが難しくなる可能性。
  5.   ④については、各グループがムーブの備蓄やパーツの互換性のあるムーブ・メーカーとの契約などによって、表向きは大丈夫のようですが備蓄がいつまでも続くはずもないし、別ムーブ・メーカーのパーツを代替えに使うと改造ムーブの扱いになる可能性。
  6.   スイス時計メーカーグループの再編の可能性 (スウォッチ・グループに入らなければいけなくなる)

以上のような「可能性」が考えられます。現実的に、昨年、ある高級ブランドの腕時計(クオーツ式)のオーバーホールのために来店をされたお客様がいました。聞くところ、ショップに持ち込んだら、「オーバーホール代が12万円」と言われたそうです。「もっと、なんとかなりませんか?」と来店をされたのです。機械式のロレックスのオーバーホール代より高額なのには驚きました。

 

動き出した、スイス製の時計。我々、販売店は今後、どうなるか見守りたいと思っています。(了)

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スイス・ウオッチの2020年問題  其の三

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セイコーやシチズンは、自社グループ会社などでムーブを生産し、自社のウオッチにムーブを組み込んでいますが、スイスでは、ムーブを購入して自社のウオッチに組み込み、ブランド化して販売をしております。分かりやすく自動車に例えると、自動車A社グループに、エンジンを製造している会社があり、そのエンジンを他のB社、C社などが購入し、自社の高級車として販売をしているということです。

そういうことから、2002年スウォッチ・グループが他のグループへの販売を2005年以降停止すると表明をしました。

主な理由は、

1. 安く調達をしたムーブを使って高価な時計を製造販売していること

2. メンテナンス用のムーブメントを17,000個しか輸出をしていないのに、他のスイスメーカは、中国などスイス時計の競争相手に100万個も輸出をしていること。

3. ムーブメントの技術開発や製造に投資をせずに、ムーブメントの値上げになかなか応じてくれない などです。

 

この発表により、スイス競争委員会(Comco)がこの問題に介入をし、2011年は前年と同じ量を販売をしなければならない。2012年は、2011年の85%に減らすことを認めました。その結果、9社の時計メーカーが不服を申し立て、裁判になりました。

2011年12月、スイス連邦行政裁判所はComcoが決めたことを追認、スウォッチグループの主張が認められたことになり、他グループ、他社への供給義務は2014~2019年にかけて段階的に減らすことになり、2020年には、供給義務が完全に消滅をすることになります。つまり、2020年以降は、スウォッチ・グループ以外のグループは、エタ社からムーブメントを購入を出来なくなるということです。

これらの動きにより、ブライトリングがムーブメントの自社生産に踏み切ったりしました。

(つづく)

 

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